freee専門税理士の”私のfreeeの使い方”

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更新日時:2024/02/29 12:16

【この記事のサマリ】

どんな会社?
  • freeeをフル活用して所内の経理を効率化した会計事務所
何に困っていた?
  • とにかく手間をかけたくない。日々の業務も、経理も、記帳も。
  • クレカ、ECサイトなど色々あってベストな運用が分からない。
  • 面倒な収納代行の記帳をスマートに行いたい。
  • とにかく早く月次を締めたい。
freeeをどう使った?
  • 経費の利用ルールを作成。交通費、ECサイトでの購入以外はなるべく全てクレカ払い。
  • 収納代行はエクセルインポートを駆使して機械的に処理できるように。
結果どうなった?
  • 月次決算はほとんどの作業が自動化され、手作業は20件程度の取引登録をするのみ、所要時間は10分~20分程で完了できるまでに。

freeeの基礎研修や実践研修を受けた方にとってはお馴染みかもしれません。"freeeの先生"こと柏木大吾さん(柏木大吾税理士事務所 代表)は、ご自分の事務所でどのように業務を効率化しているのか、気になるところではないでしょうか?少しの工夫で大きな成果を上げている柏木流freee活用術について語っていただきました。

freee専門の税理士が教える支出・収入管理のポイント

こんにちは、柏木大吾と申します。現在はfreee専門の会計事務所として1人で活動していますが、それ以前は大原簿記専門学校の専任講師を務めたり、都内の税理士法人や会計事務所に勤務したりしていました。7年ほど勤めた前の事務所では、クラウド会計を導入する旗振り役として、freee会計の導入を推進していました。

現在は柏木大吾税理士事務所という自分の事務所を設立し、freee会計を利用するお客様を対象にサービスを提供しています。またfreeeの認定アドバイザー向けの基礎研修や実践研修も担当しています。

freee会計には独自の機能が数多くあって、実際に使ってみないとわからないこともあります。例えば使ったことがない機能をお客様の運用に乗せる前に「どこか」で試す必要が生じることがあります。そんなとき最適なのは自社の環境です。私は自分の事務所の会計で積極的にfreee会計の機能を色々試した結果、現状ベストだと思う運用に落ち着いています。

結果からお伝えすると、ほとんどの作業を自動化することに成功し、毎月の作業としては自動処理から漏れたものを20件ほど、時間にすると月に10~20分処理するだけで月次決算を締められています。今回は、実際に私が行っているfreee会計を使った運用のうち、収入管理と支出管理についてご紹介します。

会計事務所のみならず、一般の企業さんにも応用できるノウハウが詰まっていますので是非参考にしてください。

freee会計における支出管理のポイント!

前提として、私は手作業を伴う業務を徹底的に削減したいと思っています。なおかつリアルタイムで記帳したいという思いもあります。そのために支払に関して一定のルールを決めています。

freee会計を使い始めるとクレジットカードやECサイトとの連携を勧められますが、無数にあるサービスの中でどれが一番いいのか迷われると思います。私もそうでした。ここでは色々試すなかでたどり着いた、私の考える最適な組み合わせをご紹介したいと思います。

ポイントは、freee会計とリアルタイムに連携でき、記帳まで手間なく行える組み合わせを選ぶことです

  • クレジットカード:ビューカード
  • 電車移動の支払方法:モバイルSuica
  • ECの決済サービス:Amazonビジネス

クレジットカードにはビューカードを使っています。ポイントは二つです。

① Suicaへのオートチャージができること
② 明細がリアルタイム連携されること

Suicaの残高が減ったときにオートチャージする設定ができるのは、日々の生活の中での手間を極限まで減らしたい私にとって必須の機能です。改札で残高不足で足止めされることがなくなり非常に快適です。

また、freee会計に連携できるクレジットカードには「未確定明細の取得」に対応しているものとしていないものがあります。対応していれば利用後数日内にfreee会計に利用明細が取り込まれますが、対応していない場合クレジットカードの請求額が確定してから明細が取り込まれるため1か月ほどタイムラグができてしまいます。私は毎月第1営業日に先月の月次決算を締める運用を目指しているため「未確定明細の取得」ができるクレジットカードは必須です。対応しているかどうかはこちらのヘルプページで確認できます。

この両方を実現できるのは現状ではモバイルSuica+ビューカードの組合せ1択なのです。

Suicaの使い方にも一つ大事なルールを設けています。それは「電車での移動以外に使用しない」ことです。Suicaはコンビニなどでの支払にも利用できますが、私はSuicaは使わずにクレジットカードで支払います。

モバイルSuicaの利用明細はfreee会計に連携されますが、コンビニなどでSuicaを使うと、freee会計に取り込まれる明細の摘要欄は「物販」の2文字しか表示されず、どこで何を買ったのか明細から判断することができないため、結局レシートを探す羽目になります。Suicaを電車にしか使用しないというルールさえ守っていれば、「Suicaの明細はすべて旅費交通費にする」という1件の自動登録ルールで全て自動処理できるのです。

結果、オートチャージと自動登録ルールによって、旅費交通費については一切手を加えずに全自動で記帳が完了します。

次に消耗品の購入についてです。

事業に必要な物品の購入はなるべくAmazonビジネスに集約しています。なぜなら、Amazonビジネスは”商品単位”で購買履歴の連携が可能である上、商品ごとの税区分も明細に含まれているためこの明細を見るだけで記帳が可能だからです。また、電帳法と電子インボイスの要件も満たすので領収書をAmazonからダウンロードしてfreee会計にアップロードすることも不要になります。

つまりAmazonビジネスで購入した明細は、自動で経理画面で処理すれば作業完了です。繰り返し買うものは自動登録ルールで自動処理できます。他のECサイトの場合は連携後に領収書をアップロードして紐づける等の手作業がそれなりに必要になってしまいます。

よって、私はほしいものがあればまずAmazonビジネスで探し、Amazonビジネスで買えないものに限り他のECサイトで購入するルールにしています。

このように日々の業務の中にちょっとしたルールを作ることで、月々の記帳は断然楽になります。

この方法の対極にあるのが、クレジットカードを1枚しか持たず、コンビニでの買い物だろうと事業で使う消耗品だろうと接待だろうと、すべて1枚のクレジットカードで支払う、というものです。

記帳する際に「これは消耗品費だったかな」「これは接待費だったかな」とレシートと突合しながら記帳するのですから、時間がかかるばかりかミスも起こります。私はこの不毛な時間を避けるために、前述したちょっとした運用ルールを設けているのです。

こうした環境を整えたことで、家賃、水道、インターネット利用料といった定期的な支払のみならず、備品購入もある程度自動化に成功しています。自動化されなかった部分は手動で登録しますが、それも毎月20件くらいですので、作業としてはかなり軽減されています。

この手法は会計事務所に限らずどの会社でも取り入れられます。私は顧問先様にもまずはこの方法をおすすめしていますが、この方法を取り入れられた方からは相当喜んでいただいています。クレジットカードの変更やECサイトの指定を顧問先様へおススメするのは憚られるという方もいらっしゃるかもしれません。そういう方は是非ご自身の記帳に一度取り入れてみてはいかがでしょうか。やみつきになって顧問先様へもオススメしたくなること請け合いです。

freee会計における収入管理のポイント

収入の記帳についても少し工夫をしています。

私の場合、顧問料に加え、コンサルティング料やセミナー料がメインの収入になります。コンサルティング料・セミナー料のスポットの収入はfreee会計で請求書機能を利用していますが、顧問料については日税ビジネスサービスの収納代行サービスを使っています。顧問料の売上は収納代行サービスに登録しているため、その情報をCSVファイルとして出力してfreee会計に取り込むことで、収納代行サービス側とfreee会計に二重で売上を登録する手間を省いています。さらに、その時にメモタグを使っていつ入金される分なのか分かるように情報を付与し、freee会計での消込を効率的に行えるよう工夫することで、毎月数分の作業で収入に関する記帳が完了できています。

詳しい方法は【こちらのTips記事】で解説していますので是非ご覧ください。

Point!

freee会計の使い方の王道を行く

ここまで読んでいただいておわかりの方もいらっしゃると思いますが、私はfreee専門税理士だからといって複雑でテクニカルな使い方をしているわけではなく、私が案内役を務めさせていただいているfreee会計の「基礎研修」でご紹介しているレベルの機能しか使っていません。それでも、月々の月次決算は自動処理から溢れたものを20件ほど処理するだけ、時間にしても月に10~20分ほどで終えられるほどにまで効率化できているのです。

そのうえで、毎月、リアルタイムに近い状態で試算表が出来上がってきます。freee会計という会計ソフトの使い方を研ぎ澄ませた結果、非常にシンプルな運用に落ち着いたといったところでしょうか。

freee会計の機能はアップデートが早く、私もすべての仕様を記憶しているわけではありません。全てを把握しようとするのではなく、気になった機能や使い方を気軽に試す習慣をつけることが大事だと思っており、顧問先様へもそのようにお伝えしています。

ここでご紹介した内容をご自身の事務所でぜひ試してみてください。失敗しても自分があとで直す苦労があるだけで、誰にも怒られません。たった少しの工夫で、freee会計はものすごく使い勝手の良いソフトだとおわかりいただけると思います。


考え抜いた末にシンプルな運用こそ最強であると気づいた――。

これが"freeeの先生"と呼ばれる柏木さんの現在のお答えとのこと。多種多様な機能を持つfreee会計の中でも、状況に応じて必要な機能を適切に取捨選択することが重要だとおわかりいただけたでしょうか。柏木さんご自身がおっしゃるように、freee会計の基礎研修の中で教わる機能だけでも、十分すぎるくらいの業務効率化とリアルタイム化が可能なのです。

freeeではアドバイザーさま同士で相談いただける相談会を開催しております。当記事でご紹介させていただいた柏木さんもご登壇されています。気になった方はぜひご参加ください。

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